第333回 ベネディクトゥス修道院と小村雪岱

ブログは人間によってつくられるものであります。これはもともと自明のことですが、簡単に忘れられてしまわれがちです。こんにちは、大島雅己です。

子供の頃は万年筆で字を書くのに憧れていました。大人になって万年筆を買ったのと並行するように、パソコンのおかげで手書きの習慣が遠ざかってしまったのです。嘆かわしいことです。

パソコンで文章を書くのは確かに便利なのです。追記変更削除が容易にできる。単語の言い換えなんてどんなに大量でも瞬時に一括変換できる。検索で特定箇所を探すことも一瞬である。仕上がりの見た目もきれいだし、字体やデザインも自在に加工できる。

ということで、長い間デジタル・スクリプティングに浸ってきたわけですが、どうもこれは身体的な感覚が失われ、自分の手で書いたものだという実感が薄れていく気がしてくるのです。最近になってようやくそのことに危機感を抱き、手書きのクセを回復しようとしています。ペン習字の練習帳で字を練習し、あらためて筆や万年筆で文字を書いてみると、手書きの喜びが蘇ってきます。

ITを利活用することは仕事や生活を豊かにするかもしれませんが、人間的な喜びをなくしていく方向にはしたくないですね。

楽器の演奏だって、今じゃあ機械とかITを使えばいくらでも自動演奏ができるでしょうが、やはり生身の人が実演するのを見たいですもんね。

<今日の本歌>
ハイゼンベルグ『部分と全体』

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