第489回 ベイジアン・ネットワークと天気俚諺
ダン・タッカー翁はいかした爺さん。顔を洗うのはフライパン。髪を梳くのは荷馬車の車輪。死亡理由はブログの更新。こんにちは、大島雅己です。
なにごとも、長年やっていると勘が働くようになってきますね。パターンが読めるようになるというのか、鼻が利くようになるというのか、筋が見えてくるというのか、こう来たら次はこうなるという想定がつくようになったりします。
数多くのパターンを体で経験することによって、事例ベース推論の能力が高まった賜物とでもいいましょうか。ジャズのアドリブができるようになるには、とにかくプロや先人の演奏を何百も何千も聴き倒してフレーズを覚えることから始まりますし、作曲する場合もたくさんのメロディーパターンやコード進行を学ぶことでスキルが磨かれていくものです。数々の物語を読み続けて行けばストーリー展開の先を読む力もついてくるでしょう。症例を何千件何万件と見て来た医者は信頼度が高まるでしょうし、判例をより多く知っている弁護士の方が頼りになりそうです。
IT現場でも同じく、いくつもの開発プロジェクトを経験してきたり、長年システム現場にいたエンジニアはIT勘のようなものがついて、盲点にあるリスクを発見したり、次の展開を先読みしたりすることがあります。こういうスキルは勉強して身につけるのが難しく、他人に教育することもできないのが困ったところです。
<今日の本歌>
ダニエル・エメット『オールド・ダン・タッカー』