第219回 アフォリズムと鶴林玉露
テナー・サックスのケースがドアに当たり、レコードの音圧に圧倒されていたブログの言葉が呪縛をとかれ、外に向かって流れ出すようです。こんにちは、大島雅己です。
シンプルに行こうという考え方は常に持つように心がけていますが、自分のいいたいことを表現する時もできるだけそうしたいと思っています。昔は年賀状にも「賀」と一文字だけ書いて送ったりしたものです。
それはともかく、メールを送る時も、電報を書く時も、手紙を書く時も、ウェブサイトに記事を書く時も、だらだらと言葉を並べるのは避け、論点をピシリと短くまとめたい。ツイッターの140字でも長いかもしれない。和歌の31文字は一つの理想的文章です。でも、もっと短くてもいい。10字。あるいは、漢字4文字で表わせたら完璧かもしれません。
なんなら、言葉でなくてもいいのです。一枚のイラスト、図表、記号でも。ピクトグラムなどはそういうために使われるべきものでしょう。簡略化したために必要なことが伝わらないのは本末転倒ですが、説明を積みかさねようとばかりするのでなく、不要なものをマイナスしていく発想も重要だと考えている次第です。
落語というのは究極的にシンプル化された芸術ですが、故立川談志師匠は噺の中身そのものもシンプルにできると言って、1分でできる饅頭こわい、などを演じていました。そりゃ行きすぎだろうと思いましたが、よく考えてみれば小噺やジョークはその考え方でできているわけですね。
<今日の本歌>
相倉久人「モダン・ジャズ鑑賞」