第2488回 ストーリーと芸能の関係(1)

こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。ストーリーが大事だなどと言いますが、ストーリーに期待しないこともたくさんあります。たとえば落語にはストーリーがない。話の筋のようなものはあっても、観客はそこにワクワク感を期待することもないし、主人公と共に冒険を味わうこともない(あるとしたら落語の聴き方ではない)。ただただ演者の話を自分の脳内で再現しながら、その仕草挙動を楽しんでいる。すでに知り尽くしている話を何度も楽しめるし、決まり文句のセリフを待ち構えていたり、演者による言い回しの違いを聴き比べたりして、そこに喜びを感じる。落語とはつくづく不思議な芸能だと思いますが、実はこちらの方が自然なもので、他のジャンルがすべて無理をしているのかもしれません。続きはまたどこかで。

(A面へ)

<今日の一推>
立川談志「金ぇ~」

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