第1694回 カルマンと孝行糖

地下売場萌黄の匂ひ思はせる。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

落語を聴いていると、人間世界のあらゆる問題が咄の中に凝縮されていると感じます。面白くて、単純であり、複雑であり、醜く、美しく、阿呆らしく、馬鹿らしく、愛らしく、みっともなく、情なく、どうしようもない人間の姿が、時にはさらりと、時にはねちねちと、時には丁寧に、時には颯爽と、時にはどたばたと、短い咄の中で粋粋と生き生きと意気意気と描かれるのです。

これを立川談志師匠は「人間の業を肯定する芸能」と称しました。業を克服しようとするのが一般の芸術であるのに対して、落語だけはそれを肯定し包容するのです。人間てのは相変らず馬鹿だなあと笑うことで、自分も含めた人間を応援しているんです。

落語を聴いているおかげで無駄な悩みや問題から解放されている気がします。

(A面へ)

<今日の一唱>
『新釈 立川談志 没後10年 永久保存版』

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