第1608回 クリシェと秋葉権現
レモネード飲む喉の中大騒ぎ。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか……というこの、どこにでもあり誰でも目にし耳にし口にもするフレーズ、いわゆる紋切り型の定型文句、お仕着せのテンプレート文言、ベタベタの雛形文章。これほど役に立つものはなく、これほど役に立たないものもありません。
使うには手っ取り早く間違いもなく余計なことを考える必要もありません。その手軽さの分だけ、中身もペラペラに薄く、まごころなどはほとんどないに等しく、ただただ差し障りのない無意味な言葉で行間を埋めている以上の役割を果さず、むしろ堂々と手抜き仕事を見せつけられているような気になり悪印象しか感じない人もいるでしょう。
つまり便利と不便は紙一重であり、むしろ便利なものほど不便であり、不便なものほど便利であると言えるのではないでしょうか。
そういえば落語「牛ほめ」では牛を褒めるのに「天角地眼、一黒陸頭、耳小歯違う」などと言うのが通例だとされていますが、これなどは紋切型と言ってよいのかどうか。
<今日の一唱>
落語「牛ほめ」