第1609回 仙狸と倫理的ヴィーガニズム
夕刊に炭酸水の輪じみなり。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
愛猫がいる生活は豊潤で華麗です。豪華な家具や贅沢な御馳走などなくても心は満たされ生活は彩られます。いずれ別れる時が来ることを思うと胸が押しつぶされるほどの悲しみに苛まれます。「別れるのが辛いからペットを飼わない」という意見にも頷けます。
しかし、よく考えるとこの意見はおかしいのです。「別れるのが辛い」のは飼い主である自分です。自分の都合で決めているのです。「ペットが可哀想だから」と言っているかのように聞こえますが、そうではありません。「辛い自分が可哀想」ということです。本当に動物が好きなのであれば、飼い主に恵まれない動物を救おうと考えるべきなのに。これは誰の視点に立っているかの問題です。
そういえば漫画『動物のお医者さん』に、モモンガのモモちゃんというのが出てきます。森の妖精と呼ばれるだけあって容姿も仕草も可愛くてたまらないのですが、ある致命的な問題のために誰もが飼うことを断念します。本当にペットの視点に立てばそんなことは問題ではないはずなのですが。
<今日の一唱>
佐々木倫子『動物のお医者さん』