第1522回 盛情款待とフリーレインジ
時計より正しい猫のスケジュール。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
十のものが必要なところに対して十を用意してあげる。これを「あたりまえレベル」あるいは「必要十分レベル」と呼ぶことにします。
これに対して、十あれば事足りるところに十二とか十三を供する場合、これをどう見るか。「おもてなしレベル」とか「親切レベル」「ホスピタリティレベル」と考える人もいるでしょうが、場合によっては「おせっかいレベル」あるいは「過干渉レベル」と受け取られるかもしれません。余計なことをして別の部分が手薄になったり、過保護になる余り相手を甘やかしてしまい結果的に迷惑なことになる恐れもあります。
一方、十あるべきところに七とか八しか与えないとしたらどうか。「不親切レベル」「不完全レベル」「中途半端レベル」などと思われそうですが、「簡素レベル」「シンプルレベル」「基礎レベル」と捉えることもできそうです。残りを自分のペースで自由に埋めることによって内容にバラエティが生まれるし、かえって十五や二十と拡大させることも可能かもしれません。
そういえば立川談志師匠がよくやる小咄で、特急電車のありがたみがわからないお婆さんの話があります。「早く着きすぎて時間を持て余す」「電車を使った時間が短いのに料金が高くなるのはおかしい」。この疑問を説得できる答は難しい。
<今日の一唱>
立川談志『プレミアム・ベスト』