第1109回 権利外観理論とマクフレクノー
多かぁ食わねえ。たった越前(古典落語『三方一両損』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
洒落の頭に御の字がつけばスタイリッシュな感じになって、駄の字がつけば親父ギャグだと蔑まれる対象となります。しかしこの駄洒落の精神こそ、忘れてはならない大事なもの、やや盛って言えば世界を救うものでさえあると考えております。
単に、似ている言葉を並べたり入れ替えたりしているだけだと看過してはいけないのであって、これは言葉と言葉の類似性を見つけ繋げ合うという、高度で巧妙で知的な創造であり、アリストテレスの言うミメーシス、動植物が行う擬態、歌学にある本歌取りであります。
駄洒落を作るためには当然、元となる原典に関する幅広い引き出しが必要であり、そこから対象との共通点を発見する類推力、観察力、抽象力が試され、それをどう結び付けるかという関係構築力と表現力、リズム感、創作力、編集力がものを言うのです。
駄洒落も一つも言えない状態では、何の分野であってもオリジナルな創造は難しいでしょう。
<今日の一唱>
古典落語『三方一両損』