第512回 井戸の茶碗とウパニシャッド
勉強ができないといっていじめるし、変な服だといって笑うし、お父様がブロガーじゃないって「レッテルをはる」し、鼻の形がわるいってばかにするのよ。こんにちは、大島雅己です。
落語は私にとって大事な心の拠り所の一つでもあり、仕事のヒントを得る貴重なアイテムです。落語の風と音楽の世界とITのナレッジをつないで仕事に活かしているわけですから(こんなこと他にやっている人いますかね?)当然のことなのです。
落語にはそもそも教訓などありませんが、人間が世界の中でどういう存在なのかをひしひしと、あるいはだらだらと実感するものです。その実感によって、現実の生活の中で自分たちの愚かさや滑稽さをかみしめ、ったくしょうがねえなあと笑い飛ばすわけで、そんなことを続けていると、怨恨とか権威欲とか虚栄心とかどうでもよくなります。
ITの世界ではシステムを構築する目的があいまいになることがあります。このシステム何のために作っているんだっけ、と考えた時、会社の売上向上のためなのか、ブランドイメージを上げるためなのか、競合会社へのアピールなのか、社内業務の効率化なのか、社長が新しもの好きだからなのか、ちょっと考えてみると何か気づきがあるかもしれません。
目的に沿った仕様になっていないかもしれませんし、人によって言うことが違うかもしれませんし、もしかしたら、誰も目的をはっきり知らないということもあるかもしれません。そうなるともはや、プロジェクトを止めた方がいいでしょう。まあ難しいでしょうけれども。
<今日の本歌>
オルコット『若草物語』掛川恭子訳