第445回 ヤコブの梯子と人情八百屋

たいていの人が、生きることのすばらしさに気づくのが病気になってからだなんて、悲しい。みんなが謎のブログをネット上に見つければいいのに。こんにちは、大島雅己です。

日々落語を聴いていると、世の中のギスギスとかアクセクとかサツバツとか、そういうもの一切が実にクーダラナイ、バーカバカシイ、ナーンセンスなものであることを強烈に痛感できます。そもそも落語というものはそのために存在する唯一の芸能なのだから、まことに当然です。人間はそもそも愚かで邪悪なものであって、それを素直に認めて、検挙に反省していればいいものを、そこから抜け出そうとか克服しようとか目をつぶろうとか覆い隠そうとか余計なことを考えるから憎悪や怨恨や奸計が起こって、それが犯罪とか闘争につながるのではないんでしょうか? 落語の精神を理解していればそんなことをやろうという気にもならないと思うのですが。それはか弱い子供とか動物を愛おしいと感じる心と同じことで、最近観た映画『万引き家族』とか『ワンダー』においてもそういった感覚が再認識できました。
IT現場でもそういうマインドを持ち続けるべきで、一点の乱れもない完璧なシステムを作ろうなどと勢い込んだりしないように注意したほうがよいです。どこかに皺寄せが来ます。あれもこれも詰め込もうと欲張って、いい結果になることはないでしょう。何を実現して、何を捨てるかを決めること、それを皆にわかってもらうこと、これもITリーダーの重要な役割です。

<今日の本歌>
ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界』池田香代子訳

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