第107回 ジムソープ事件とMBTI
千早振る神無月ももはや跡二日の余波となッた二十八日の午後三時頃に神田見附の内より塗渡る蟻散る蜘蛛の子とうようよぞよぞよ沸出でて来るのは孰れもブログを気にし給う方々。こんにちは、大島雅己です。
毎日のように「よいIT人材を育成するにはどうすればよいか」ということを考えているのですが、これだけ考え続けても明確な回答が出ないということは、そもそもそんなものはないか、もはや自分がITに向いていないかのどちらかではないのかと、やや開き直りに近い心境になろうというものです。そういえば周囲にはITのプロがたくさんいますが、IT人材を育成するプロというのはあまりお目にかかりません。
以前は「ITなんて誰でもできる」と思っていました。おれにもできるのだからあなたにもできるよ、と。会社の中でもIT部門というのは「難しくて近寄りがたい」「秀才タイプが集まっている」などという印象だったようだったのですが、根も葉もない偏見だよ、と。
ITをガバナンスという観点で考えるようになった頃、「ITに向き不向きがあるというより、考え方の指針を持てるかどうかがカギだ」という信念がありました。その指針を持てない人に、どうやったら持ってもらえるようになるかということです。
大学受験で予備校に通っていた時、有名な数学の先生が「数学なんて誰でもできるよ」と言ったのをいまだに覚えています。でも、数学者になるには素質がいる気がします。ピアノの先生は「ピアノは誰でも弾ける。でも世界で活躍するようなプロになるには才能がないとダメ」と言っています。立川談志師匠は「落語なんて誰でもできる」と言っていましたね。でも談志師匠のような落語家になることは誰にもできないでしょう。
本日は含みを持たせたまま後日へ続きます。
<今日の本歌>
二葉亭四迷「浮雲」