第1310回 紅型とフェロニエール
このような時代をサヴァイヴしていくために最も大切なことは、内側から湧き上がってくるほんとうの“自分力”を培うことかもしれない(石岡瑛子『私デザイン』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
服に無頓着な人がいます。「服なんかにチャラチャラかまけている暇はない」「よほど変なものでなければどれでも同じだ」「人間は外見でなく中身で勝負すべきだ」「清潔にしていれば誰にも文句を言われまい」などの意見もありましょう。それはそれで理解もできます。
しかし、人間の姿を客観的に見る時、最初に認識できる外観は顔であり身に着けているものです。帽子、眼鏡、腕時計、装身具、靴、そして衣服。重ね着をしていれば一番外側に纏っているものが対象となりますが、とにかく服はその人を表すデザインに等しい。そう考えると、何でもいいとは言っていられなくなります。
自分自身は気にならなくても、自分を表現するツールである以上、外に対するアピールの一つであります。家の表札は自分にさえ読めればよい、というわけにいかないのです。
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<今日の一唱>
石岡瑛子『私デザイン』