第1648回 パンニングと後方連絡線
電燈に透かし見てゐる四合瓶。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
さらに横尾忠則氏の話が続きますが、氏の絵を繰り返し見ていくと、最初に見た時に気づかなかったものが二度目、三度目で発覚することがよくあります。あっこんなところにこんなものが、こんな人が、こんな文字が、という発見です。『GEMKYO 横尾忠則 II Works』には、ジェームズ・ボンド(1966)の絵について「背後ではなにか騒動が起こっている」と解説されています。
目の前に展開されるものがメインなのだというのは観察者の思い込みでしょう。その背後、さらにその向こう、あるいはずっと遠くに微かに見えている事件こそが大事なものかもしれません。
そもそも、此方と彼方は自分のひとりよがりの視点が決めているだけのことで、立場を変えれば簡単に逆転するのですから。
<今日の一唱>
GENKYO 横尾忠則