第707回 四方公相君とテトラグラマトン

ひとりまづブログを高み書きそめて山めぐりする蝉の諸声。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

芸術といふのは、ある形式を使つて自分を表現すること、だと思つてゐます。画家は、絵画といふ形式を使ふし、音楽家は音楽といふ形式を使ふし、漫画家は漫画といふ形式を、小説家は小説といふ形式を、落語家は落語といふ形式を使ふわけです。

形式を使つてゐても、そこに表現したい自分といふものが存在しなければ、芸術にならないでせう。形式だけの絵画。形式だけの音楽。形式だけの漫画。形式だけの小説。形式だけの落語。いつたいそれはどんなものなのかといふ気もしますが、よくよく見るとさういつた中身のない形式めいたものが世間には跋扈してゐるかもしれません。

ビジネス現場でもさうです。凝つたビジュアルの美しいプレゼン資料。朗々と語られる理路整然としたスピーチ。人は何でも一通り形が整つてゐるとついつい信用してしまひがちですが、そもそもは中身あつてこその形式であり、中身を伝えるために形式が存在してゐるわけですから、中身の方を評価しなければいけないはずです。逆にしないやう注意せねば。

<今日の本歌>
正徹『草根集』

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