第45回 十牛図とグランドホテル方式

いろいろ書いておりますが、私自身は殆どまったく無内容な、空っぽの容れものにすぎません。こんにちは、大島雅己です。

昨日は菊地成孔先生のペン大にて作曲ゼミでした。生徒が持ち込む自作品について、音源と譜面を使って全員で分析し合う。好感度を直観的に4段階ぐらいで評価し、その原因を考察したりする。

最初は表層的な感想しか出てきません。何となく格好いいなとか、あの曲に似ているな、とか、リズムはもう少し早い方がいいな、とか、全体的に暗いな、とか…。
譜面を見ながら何回か聴いていると、だんだん構造的な特徴に目が行くようになってきます。この部分とこの部分は同じフレーズを応用しているな、とか、8小節単位で同じモチーフを使いまわしている、とか、この部分だけ全体の流れに逆らった形になっているな、とか…。

菊地先生はこういうことを、たぶん最初から見抜いていて、それを生徒に見つけさせようとしつつ、実証も交えながら丁寧に解説していきます。
この、構造を一瞬で見抜くところは、やはりプロフェッショナルの所以だなあ、と、しみじみ感じ入ったのでした。

まったくもってIT現場でも、この「構造を見抜く」力というのはとても大事で、経験と学習によって身につけていくべきものだと考えております。システムの全体像がどうなっているのか。どことどこがどう関連しているのか。なぜこのような形になっているのか。ここをこう変えるとどうなるか。これが最適な状態なのかどうか。そうでないとしたらどうすれば最適になるのか。

すぐれたITリーダーは常にこういったことを考えているはずです。すぐれた音楽家も音楽全体をそのように見ているのでしょうね。

<今日の本歌>
伊丹十三「女たちよ!」

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