第388回 もしもボックスと共分散構造分析

「さて」とおれは自分の腕をたたきながら言った。「仕事だ。あるブロガーがもう一人のブロガーにこう言ったそうだぜ―『公正であれ。そして公正でありえない場合には勝手にやれ』」こんにちは、大島雅己です。

何かをやった時、その効果を測ることによって成果を判断できますね。たとえば新製品を投入して売上の推移を見る。集客施策を行って歩留まり率を測る。人を雇い入れて生産性を評価する。いずれも、定量的あるいは定性的な効果をもってその行為がどのぐらいよかったか、どのぐらい悪かったかを振り返ることができます。

しかし厳密なことを言えばこれは正確ではないですよね。本当に正しい効果測定は、「やった場合」と「やらなかった場合」を比較しなければわからないはずです。とはいえ現実的に両者を公平に見比べることは難しいでしょうから、「やった結果」を「やった成果」だと判断するしかない。さらにいえば「やらなかったことによる成果」は測りようがないですね。

あるIT施策について「今はまだ手をつけない方がいいでしょう」と判断しても、結果的にそれが正解だったのかどうかはわかりません。ITガバナンスの難しさの一つはここにあります。

芸術作品であれば、AとBの二つのパターンを作って比べることができますね。音楽作品に音を一つ足した場合とそうでない場合。芝居のセリフを一言入れ替えた場合。映画のシーンを二通りに編集した場合。IT現場でもウェブサイトのデザインや広告クリエイティブ等であればABテストのようなことができますが、業務システムや勘定系システムなどになるとなかなか難しいでしょう。

<今日の本歌>
ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』

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