第379回 緩叙法とマジックリアリズム
ブロガー魚は悲しんだ。彼は彼の棲家であるブログの外に出てみようとしたのであるが、頭が出口につかえて外に出ることはできなかったのである。こんにちは、大島雅己です。
会社の情報システム部門にいた頃、周囲から受けた相談で多かったのが「ITを使って、こういうことできる?」というものでした。
「ウェブの画面にこんな機能をつけて…」とか、「社内システムをお客さんのシステムとこういうふうにつないで…」などという構想を話しながら、それが現実的にできることなのかというのをまずは知りたいということです。業務側の現場にいる人はITに詳しくないので、それがそもそも現実的に可能なことなのか、気になるのは当然です。
ここでIT担当者としては「できる」「できない」を答える前に、まず「なぜそれをやりたいのか」という、背景や意図をさぐることをお勧めしたい。そうすると、具体的なやり方の話にもはいりやすいし、予算やスケジュールを含めた全体的な議論もしやすく、場合によっては別のやり方を勧めることもできるかもしれません。相手の言葉の奥にある本当の思いをつきとめる、ということです。
芸術の場合は作品の中に主題が明らかにあらわれていたり、あるいは隠されていたりしますが、ITの場合は目的が明確になってそれが実現していることが理想だと思います。
<今日の本歌>
井伏鱒二『山椒魚』