第140回 冬の稲妻とカメレオン・アーミー
ブロガーの仕事はさまざまです。目的地までの道案内、旅行計画のお手伝い、ビジネス文書の翻訳、捜し物忘れ物…要するにお客様にかかわることすべてに対して迅速に対処する仕事なんですよ。こんにちは、大島雅己です。
松岡正剛先生の編集学校で詩歌の稽古が先日無事に修了となり、次の課程に向けての準備中です。課題図書として校長の著書「フラジャイル」を読んでいるのですが、これが腰が抜けるほど面白いのです。「弱さ」「壊れやすさ」というものを起点に考察を展開し、古今東西の万巻の書を巡りながら、それまで誰も指摘できなかったフラジリティというものに潜む正体を丁寧にあばき続けて、ついには世界の奥義を語り尽くす壮大な提言なのです。95年に書かれた本ですが、見事に現代社会への警鐘も込めた予言書にもなっており、度肝を抜かれました。
恐れ多くも私なりに要約してみると、「強く、正しく、明確に、全体的に」という考え方から離れて、「弱く、曖昧に、ぼんやりと、部分的に」という概念を大事にすることで世界を捉える、ということです。この考え方はまさに落語の世界観にも通じますし、ITのアジャイルの思想、ネットワークの発展、オブジェクト指向、働き方のダイバーシティ、LGBTといった概念にも繋がります。
なんだか私自身の気になるものが全て語られていて、人生100年時代を生き抜くための哲学を教示された気分です。
<今日の本歌>
いしぜきひでゆき・藤栄道彦「コンシェルジュ」