第1633回 ヤブガラシと収穫逓減

秋の夜の苦きビールの記憶あり。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

大瀧詠一氏の『びんぼう』は何度聴いても励まされます。クニクニとかニクニクとかクジクジなどというオノマトペのようなよくわからない音節の連呼と、貧乏を嘆くような讃えるような楽しむような歌詞。かつ、ファンク色をたっぷり効かせながらも厭世的ムードふんぷんたる曲調。

そもそも貧乏とは何か。貧は貝を分かつと書くように、金銭的に不自由している感じであり、乏は正の字を逆にしたもので、もともとは人の死体を表すものだそうで、なにやら悲壮感の籠った字です。しかしてビンボウという語感はビビンバとかバンブーとかバンボボボンなどと破裂音の小気味よさに連想が繋がり、弾むようなイメージがあるのです。

言葉の意味とその語感が別々の方向にあるようで、その、容れ物と中身の両方を活かしたのが『びんぼう』という曲だと感じるのです。

(A面へ)

<今日の一唱>
大瀧詠一『びんぼう』

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