第1450回 フォーディズムと酢酸塩II
オランダの土産でも届かないかな。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
音楽は生活の一部というか自分自身の一部のようなもので、某CDショップチェーンのキャッチコピーではありませんが、音楽がなければ人生の半分以上は意味のないものになるだろうと思っています。しかし、日々音楽を聴く中で、充実を感じるのと同じぐらい、あるいはそれ以上に、虚無を感じることも多いのです。そのほとんどは、売るためのあざとい音楽を耳にするためです。
音楽に関わる人々も、仕事として活動している以上は売れることが大前提であることは当然ですが、「こういうやり方をすれば売れる」という小手先の法則が垣間見えるような楽曲があまりにも巷にあふれていて、そういうものは全部、底が透けていてどれも同じように聴こえます。大量生産の人工甘味料入りファストフードを食べさせられているような、工業用の廉価な画一商品をまとめ買いしているような気分になるのであります。
そういうものであっても音楽であることには違いないし、それを享受して価値を感じる人もいるのだから、そこにとやかく言うことはないのですが、すべての音楽がそうなってしまうことには深刻な危機を感じるのです。この感覚を的確に言語化し可視化し訴えていくことが我が使命の一つであると勝手に覚悟しています。
そういえばシェーンベルクという作曲家が「もし芸術ならそれは万人のためのものではなく、もし万人のためのものならそれは芸術でない」と言っています。聴いている曲は、作品なのか、音楽なのか、芸術なのか。
<今日の一聴>
シェーンベルクの言葉