第1395回 マチヤーとドミナント戦略
ささくれを見て細胞を意識する。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
「便利」についてさらに考えてみます。便利といえばコンビニエンスであり、コンビニエンス・ストアとは便利な店ということですが、そのポイントとなる特徴を簡潔に言うとどういうことになるのか。
必要なものがなんでも揃っていること。曜日も時間も季節も関係なくいつでも開いていること。手近な場所にあり容易く行けること。確かに、多くの利用者にとって要望を叶えているものであり、これぞ便利だと言われればなるほどその通りです。
しかしここでもう一歩踏み込んで考えたいのは、利用者が本当に必要としていること、本当に望んでいること、本当に勝ち取りたいことは何であるのか、です。それが本当にコンビニに置いてあるのなら紛う方なく理想の場所と言えましょう。
しかし多くの場合、ほしいものと店の関係は逆になっている気がします。コンビニあるから買ってみる。コンビニにあるものを活用する。空いているから夜間に出かける。近くにあるからつい入ってしまう。
どれも店ありきの行動であり、ほしいものを買うために店に行くという当たり前の図式からずれているのです。コンビニエンスとは客が店に便利に使われる意味なのかもしれません。
そういえば稲垣えみ子氏が東京新聞夕刊のエッセイで、ありもので即時に作る「秒ツマミ」を推奨していましたね。これはコンビニで総菜を買うのとは違い、早いとか簡単なことがキモではなく、自分にとっての「美味しい」を取り戻すことだと書かれており、私はハタと膝を打ったのです。
<今日の一唱>
稲垣えみ子「ああ憧れの一人飲み」