第1394回 ライカビリティと兵糧丸
食ふ順に悩む焼鳥の楽しみ。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
便利な道具は喜ばれると決めつけるのは危険です。手間が省けたり、時間が節約できたりすることが本当に望ましいことなのかよく考えるべきです。
何かがカットされる代わりに、別のところで負荷が加わっている可能性もあります。楽ができるようになっている代償に品質が犠牲にされているかもしれません。そもそも使う人が本当に手間や暇をなくしたいと思っているのかどうかが問題です。手間が複雑だったり時間がかかることを楽しんでいることだってありえます。
そういえば、漫画家のきくち正太氏が『おせん』の付録ページでスイカとジンのソーダ割り(これが夏は絶品らしい)の話を描いているのですが、スイカを潰すためのミキサーが、すぐに安全装置が働いて止まってしまって使いづらく、いちいち裏蓋を外してリセットボタンを押すのが面倒なので諦めて手で直接スイカを潰してザルで濾すようにしたら、そっちの方が断然早く、気が楽で、しかも味も格段に美味いそうなのです。
便利とはいったい何なのかを考える格好のエピソードです。
<今日の一読>
きくち正太『おせん 真っ当を受け継ぎ繋ぐ。』