第1396回 熟酥とギムネマ酸
寒いほど澄むならもはや真空か。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
「甘い」の語源は「うまい」だそうで、これは予想がつくものでもあります。そもそもうまいものとは甘いものであり甘いものとはうまいものだったのでしょう。
では「辛い」の場合はどうか。これは「香(か)いらし」「嗄(か)る」「気苛し(けいらし)」などと関連しているようで、刺激があって咽喉が乾く様子から来ているように思えます。カラシはここから来ているのでしょう。
また、「苦い」は「憎い」と繋がるのでしょうし、「酸い」は「酢」から来ているのでしょう(その「酢」は、スーッとするからスなのでしょう)。
細かい語源を追わなくても、語感からして、「アマイ」はいかにも甘そうだし、「カライ」はカーッと辛味を思わせるし、「ニガイ」は口当たりの悪い感じが伝わるし、「スッパイ」はスースーと酸味を連想させます。こう考えると言葉そのものが意味を訴えているのだとひしひし感じます。
そういえば「からし菜の花の続きの醍醐かな」とあります。醍醐は味覚の最高級の状態ですね。甘辛苦酸どんな味にも美味を感じられるのが幸福なのだろうなと思うのです。
<今日の一唱>
村山美恵子の句より