第1345回 ドラグレスクと硬口蓋化音
あの頃はふたり共なぜかしら世間にはすねたような暮らし方(和田アキ子『古い日記』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
「すねる」は「拗ねる」で、ニュアンスとしては、まっすぐなものを曲げるようなことでしょうかね。そこから「ひねる」「ひねくれる」「ねじれる」などにつながっていくのかもしれませんね。「ネ」という語感が共通していますね。
ここからさらに「ネ」を手摺りに言葉を広げてみると、「そねむ」「ねたむ」「こねる」「ごねる」「くねる」「ぐねる」「あぐねる」「うねる」「おもねる」「そこねる」「こまねく」「つねる」などに繋がり、どれもなんとなく「素直でない」とか「まっすぐでない」とか「順調でない」といったイメージがありますね。
言われてみればそもそも「寝る」は体を横にすることだし、「練る」は固いものをほぐすことだし、「ね」という文字そのものがくねくねと踊っていますね。
素直は美徳ですが、まっすぐなだけではつまらないですね。
<今日の一唱>
和田アキ子『古い日記』