第1203回 エレウテリアと真空期待値
なんにもないなんにもない全くなんにもない(『やつらの足音のバラード』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
引っ越したばかりの部屋には家具も荷物も何もなく、不自由です。何もない空間では何もできない。必要なものを充実させて自由を得るために、少しずつモノを持ち込んでいきます。食べるためのモノ、寝るためのモノ、着るためのモノ。遊ぶためのモノ、学ぶためのモノ、働くためのモノ。
何かが増えればそれに呼応するように別の何かがやってきます。増えれば増えるほどそれを整理収納するためのモノも必要になります。
そうやって一通り増えたモノに囲まれた時、新たな不自由を感じます。モノに支配される不自由。モノに束縛される不自由。モノを管理する不自由。それでやっと自由の意味を真剣に考えるようになるのです。
<今日の一唱>
園山俊二・かまやつひろし『やつらの足音のバラード』