第1179回 へうげものと木兎図
甘いランデブときめくハート、灯影ほんわか数寄屋橋(トニー谷『馬鹿じゃなかろか』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
音楽や絵などに接する時、むかしから何となく二つの観点で捉えていた気がします。一つは技術的な完成度、もう一つは独自性とか味わいです。前者は客観的な評価に基づくものであり、後者は人によって好き嫌いが分かれるものです。ありていに言えば「上手いか下手か」、後者は「カッコいいか悪いか」です。
2軸を重ねると4象限ができますが、最近はさらにもう一つの軸を気にするようになりました。「本人が好きでやっているかどうか」です。技術的にもレベル高く、カッコよさも文句ないけれど、本人は好きで作ったものではない、となるとその作品の興味を失い、虚無感に苛まれてしまうのです。
知らなければわからないものなのかもしれませんが、やはり芸術作品は作者の「数寄」が高じたものであってほしいのです。
<今日の一唱>
トニー谷『馬鹿ぢゃなかろか』