第1137回 ミミクリーと社会葛藤
これでいいや、うおうおうお、あそぼーよ、魚ごっこ!(ボ・ガンボス『魚ごっこ』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
「ごっこ」遊びとは、自分でない別の姿を借りてそれになりきる、のではなく、かりそめであることを承知していながら現実と虚構を往来する状態なのでしょう。つまり「交互」なのです。
さらに登場人物が複数であればそれらの間においても役割を入れ替えることが通例であり、ここでもやはり交換、交代、交替、交流が起きているのです。
役割は日常生活の中でも常に入れ替わっているもので、まるで落語のように、熊さんであったり八つぁんになったり与太郎に化けたり横丁の隠居を気取ったりするのであり、それをごく自然に当然に行っているのです。
役割というのは分担することも大事である一方で、交換することも重要で、これを代わる代わる入れ替えることに大いなる意味があるものです。それこそが、ごっこ遊びの意義なのでしょう。
<今日の一唱>
ボ・ガンボス『魚ごっこ』