第1136回 エラストマーと九章算術

十年や二十年なんて、ゴム消しさ(忌野清志郎)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

消しゴムが鉛筆の跡を消すのは、素人目で雑に言えば消しゴムが鉛筆の芯の痕跡を吸着して紙面から剥がし去る仕組みによるものだと考えられますが、だとすれば正確に言うと消すのではなく移動させているわけです。

ペンで書いたものを消すための修正液なども実際には消すのではなく白く上書きするわけなので覆い隠しているのです。こすると消える特殊なペンもありますが、あれはインクの色を透明化しているようなので、やはり消滅というより変色に近い。

黒板もホワイトボードも、洗濯物の汚れも焼却炉のゴミも、消え失せることはなく、どこかに移動させられるか、別の物に形を変えているわけです。

そう考えていくと本当にものが消えるのは人の記憶とデジタルデータぐらいしか思いつかず、これらは消えてしまうとも本当に跡形もなくなって絶対に修復できないもので、だからこそメモとかバックアップが大事なのだなと得心しました。

(A面へ)

<今日の一唱>
忌野清志郎『十年ゴム消し』

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