第1138回 白虹貫日とジアステレオマー
夏山に鷺の並ぶや田植笠(許六)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
「カサ」と言えば柄のあるものが「傘」で柄のないものが「笠」で、どちらも体を覆うものですが、さらには「暈」もあってこれは太陽とか月にかかる光輪であり、やはりカサとは物を覆うものを指すのだなあと感じ入っていると、これはつまり「カサねる」ことに繋がっていて、それによって「嵩」が増すわけか、と勝手に納得しました。
怪我を覆うものは「カサブタ」ですが、これはカサとフタとダブルで覆っている感じです。ちょっとした小物をカサねる場合は「カザす」となって、さらに見栄えをよくすれば「カザる」になるのでしょう。
モノは何かとカサなることによって一回り大きな新しい構造体を作ります。広い意味で考えると、自分にとって服も部屋も家も全部カサと言えます。あるいは、家庭、グループ、組織、会社、地域、国家、自分を覆っているものは全てカサです。それは果たして傘なのか笠なのか暈なのかカサブタなのか飾りなのか。
<今日の一唱>
森川許六『笠の影』