第1079回 テルキーネスと種苗法

藁にまみれてヨー育てた栗毛、今日は買われてヨー町へ行く(三橋美智也『達者でナ』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

作ることは育てることです。自分の手で塩加減を調節して、我が子を慈しむようにして立派な大人に仕立て上げた作品は、かけがえのない、まさに己の分身とも言えるものでしょう。もしそれが他人の手に渡るべくして作ったものだとしたら、いよいよ手放す時の衝撃は身を切るほどの一大事でありましょう。それは自分の命を賭すほどのつらい思いであると同時に、子供の幸せを心から祝福する大いなる栄誉でもあります。

なんとも大袈裟な言いようですが、ものを作るからにはそれぐらいの覚悟と決意と気魄が必要ではないかと思うのです。ましてやそれで報酬を受け取ったり相手の命を預かったりするようなものであればなおさらのことです。自分の作品と、それを受け取ってくれる相手の両者ともを自分の身に代えて幸せにすることが創作主の最大の使命なのであります。

(A面へ)

<今日の一唱>
三橋美智也『達者でナ』

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