第1048回 エンハンサーと不動の動者

私は哀れな彷徨ひ人だ。この苦しみの世界を旅するのだ(聖歌『ウェイフェアリング・ストレンジャー』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

戦記映画や歴史映像を観るたびに、人は何故争ふのかと悩みます。本能なのか、情動なのか、欲望なのか、嗜好なのか、性質なのか。生命が生き永らへるために必要不可欠なものなのでせうか。そのためには己の生活を脅かすものに刃向かひ排除しやうとするのが当然なのでせうか。他者を認めず蹴落として生き延びるのが人間の本性なのでせうか。

もし生物としての前提から覆つたとしたら世界はどうなつていたでせうか。生物は自分自身を増殖させるのでなく同胞を生かさうとする性質を持つものであつたとしたら。遺伝子の存在そのものがなく、常に突然変異を繰り返すタスキのやうなものを同胞に托し続けるものだとしたら。

生命の原理とか科学の真理などいろいろ無視してゐますので単なる荒唐無稽な思ひつきになつてゐると思ひますが、常識とか前提と言はれるものも一度は疑つてみる姿勢はあつてよいはづです。何かを判断する土台が本当に正しいものなのか、もしかしたら変はる可能性があるのではないか、と考へることが変革に繋がるのではないでせうか。

(A面へ)

<今日の一唱>
聖歌『ウェイフェアリング・ストレンジャー』

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