第1016回　フリンジストリームと中庸章句

「え～じゃないか、え～じゃないか、そんなのフツウ、そんなのフツウ」（黒川つねみ『火縄銃でボーン』）。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

「普通はそんなことしない」などと物事を否定する言ひ方がありますが、いろいろな意味で好きではありません。まづ、「普通」の定義が曖昧です。世間一般の多くの人がそんなことしてゐないぞと言ひたいのでせうが、どこの誰のことなのか、恐らく言つてゐる当人もわかつてゐないはづです。数千人規模のうちの八割九割を占める例を知つてゐるならまだしも、さうでなければ偏見か思ひ込みです。

さらに、この言ひ方は多数決に従ふべきだといふ主張に基づくもので、自由な発想や新たな挑戦を阻害してゐます。むしろイノベーションを起こすなら普通でないものこそ歓迎すべきでせう。

一方で「普通に考へる」ことは尊重すべきであるとも言へます。これは、変に奇を衒つたり気負つたりせず素直に考へるといふ意味です。物事を受け入れる時は一旦素直な心で対峙し、そこから自分なりの発想法で思考するやうに心掛けてゐます。

「普通」の使ひ方を間違へないやうにしなければ。

（Ａ面へ）

＜今日の一唱＞
黒川つねみ『火縄銃でボーン』

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