第995回 遷移確率とパレイドリア

「ある日パパとふたりで語り合つたさ、この世に生きる喜び、そして悲しみのことを」(『グリーン・グリーン』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

人間同士が互いの思ひや考へを理解し合ふためにはコミュニケーションが必要ですが、具体的に何をどうすることによつてどんなことがどのやうにわかるのでせうか。

確実にやるべきなのは、「情報」を「媒体」によつて「交換」させることでせう。情報は言葉や音声や映像などの形をとつて空中紙面液晶さまざまな媒体経由で運ばれ、その内容は当人の思考そのものであつたり客観的なファクトであつたり相手への質問であつたり、その他挨拶激励ご機嫌伺ひ種々雑多に入り混じつたものになつてゐるはずです。

受け取つた方は情報を自分が咀嚼できる状態に翻訳分解補正をした上で取り込み、その結果を反応として返送するのにまた同じプロセスを繰り返すことになります。つまり極めて繊細で複雑で大掛かりな処理が反復されてゐるのです。

かう考へると、そのプロセスの間に情報の欠落変質混同が発生しても不思議ではなく、むしろ完全無欠状態のままで伝達される方が稀であるとさへ思へます。少なくともその前提に立つた上で徹底した理解を心掛けなければなりますまい。

IT現場ではコミュニケーションのロスは大きな損害につながる恐れがあります。まさにITツールばかりに頼つてゐると思はぬ事故が起きるかもしれません。

(A面へ)

<今日の一唱>
ニュー・クリスティ・ミンス『グリーングリーン』詞・片岡輝

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