第994回 耳目之欲とペアノ曲線

「然らば則ち人の性に従ひ、人の情に順はば、必ず争奪に出で、犯分乱理に合して、暴に帰す」(『荀子』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

性善説と性悪説とどちらが妥当かと考へても回答を持ち合はせてゐませんが、場合場合によつて人を信用してよかつたと思ふこともあれば信じた自分が馬鹿だつたと失望することもあります。しかし問題は信じるか信じないかではなく、両方の可能性を想定してそれ相応の対策を打つといふことです。

ひとつの選択肢だけを当てにしてそれが正解だつただの外れただの言つてゐる場合ではありません。どんなことが起こり得るか、あらゆるパターン順列組合せを見通して、それぞれに対して手筈を整へておくことが重要なのです。

うまくいかなかつた時のことは当然ですが、うまくいつた場合でもその後にうまくいかなくなるかもしれず、さらにもつと後になつてまたうまくいくこともあり、その時には最初にうまくいかなかつた部分は別の様相を呈してゐるかもしれません。この成り行きを常に追ひ続けることが必要だといふことです。

IT現場でも同じです。システム開発は基本的な流れやパターンが決まつてゐると思つたら大間違ひです。一寸先には無限の可能性が潜んでゐます。

(A面へ)

<今日の一唱>
荀況『荀子』

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