第987回 御子左流と組込みスキル標準

ITの言葉も知らないでさよならした人。たつたひとりのなつかしい私の恋人。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

大学浪人の頃、予備校で数学の先生が言つたことを今でも覚えてゐます。「授業で教はつたことを自分も他人に説明できなければ本当にわかつたとは言へない」といふものです。しかも、「それをどんな相手にも理解してもらへなければならない。実家の親でも、近所の八百屋のオジさんでも、風俗のお姉さんでも」なのです。

つまり修行の段階は大きく3つあり、まず自分が理解すること、次にそれを再現できること、そして最後に、第三者に渡せること、だと捉へます。最初の段階は自分でその気になつてしまへばお終ひです。たいていの場合、わかつたと思ひ込んでゐるだけかもしれません。仮に本当に理解できたとしても、それを再現できる段階まで進めるのは相当な難関です。先生と全く同じやうに説明ができるかどうか。先生の代はりにレクチャーが務まるかどうか。さらに、これを全くの門外漢を相手に納得させられるとなれば、完全にその道のプロ、ベテラン、エキスパートでなければなりません。そのぐらいの覚悟を持つて物事に取り組む姿勢でありたいものです。

IT現場でも流行りの技術やバズワードを並べ立てて尤もらしく語る人がゐますが、そもそもコンピュータが何故動くのかを誰にでもわかるやうに説明できる人がどれぐらいゐるのか、はなはだ疑問です。

(A面へ)

<今日の本歌>
園まり『逢いたくて逢いたくて』

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