第947回 バルビツール酸系と主たる使用者

何処へ逃げてもITはついてくる。ITで隱れても虚しさはついてくる。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

「ものをどう使ひこなすか」。この命題は裏を返すと、「いかにものに使はれないか」です。使つてゐるつもりが使はれてゐるのはよくあることです。服をうまく着こなせてゐない状態は、服を着てゐるのでなく服に着られてゐる。同じやうに、楽器をうまく弾きこなせていないのは、まだ楽器に弾かれてゐると言へます。楽器が思ふやうに鳴つてくれない。つまりコントロールできてゐないのです。

ITもさうです。ITを使いこなしてゐるつもりが、使はれてゐる。ネットで探したレストランは、自分の意志で決めたつもりが実は知らぬ前にネットに誘導されたものかもしれません。キャッシュレスの買ひ物履歴をすべて掌握できてゐないとしたら、もはや買ひ物といふより買はされ物に近いかもしれません。ITデトックスとかIT断捨離と称してゐる時点ですでにITに取り憑かれてゐるわけです。

充分に「こなす」ためには、その対象を完全に自分の管理下に置いた状態でなければならないはずです。猫の面倒を見てゐるのか、猫に振り回されてゐるのか、わからないとしたら、これはどういふ状態だらうか。

(A面へ)

<今日の本歌>
岸田智史『螺旋階段』

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