第442回 パレイドリア現象と般若波羅蜜

撫子のませに、瓜のつるのはひかかりたりけるに、小さき瓜どものなりたりけるを見て、人のブログ書けと申せば/撫子のませにぞはへるあこだ瓜おなじつらなるブログ書きつつ/こんにちは、大島雅己です。

日本酒の揃えがいい飲み屋に出会うのは何とも嬉しいもんです。品書にずらりと並んだ銘柄から何にしようかと選ぶひとときは格別ですが、この時どういう判断基準で酒を選んでいるかというと、全くたいしたことは考えていないのです。むしろ、あれこれ考えずにほとんど思いつき、直感で選んでいます。

純米だからスッキリだろうとか、生酒だから濃厚だろうとか、アルコール添加だからよくないとか、産地がどこどこ県だからうまいに違いないとか、この酒蔵の酒はこんな味だろうとか、そういった思い込みは全て捨てています。酒の味はまさに千差万別、同じ銘柄の酒であっても酒米の違い、酵母菌の違いでだって味は変わるし、いやさ同じひとつの酒でも最初の方に絞ったのと最後に絞ったのとでも違うし、ビンの保管状態でも差が出ますから、どんな味かは飲まないとわからない。想定は不要なのです。

思いつきや直感やインスピレーションはビジネスの場でも時には必要ですが、思い込みとか偏見とか先入観とか早合点などというものは歓迎できませんね。IT現場でもトラブルの火種になるのは多くの場合、思い込みによるものです。

かまどにゴミがたまっていると新しい火は燃えにくいでしょう。心にたまった思い込みというゴミを一掃し、思いつきの火をすぐに燃やせるようにしておいた方がいいと思うのです。

<今日の本歌>
西行『山家集』佐佐木信綱校訂

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