第339回 ビクトリノックスと立螺秘巻

ブログのセンスと言われたら手も足も出ない気持になるのは私だけでしょう。こんにちは、大島雅己です。

今年八十歳になる父親は時々パソコンを使っている。恐らくその用途は、リスト管理のための表計算ソフト、年賀状のためのハガキ作成ソフト、手紙用のワープロソフトぐらいだろう。

そもそもパソコンを使い出したのは六十を過ぎてからのことで、それ以降ことあるごとに私に電話で質問するのだった。その内容は、ワープロの立ち上げ方がわからない、昨日作った書類の探し方がわからない、電源を入れても反応がない、などの、初歩の初歩レベルのものばかりだが、それから二十年近く経った今でもあまり変わっていない。

一度教えたこともすぐに忘れ、同じ質問を何度もしてくる。つまり、学習によって理解しようという意志はないのだ。パソコンは道具であって、勉強して克服するようなものではないのだろう。そう考えると、父の態度も納得がいく。こういう人にストレスなくパソコンを使ってもらうにはどうするかをITアドバイザーは考えなければいけないのだろう。

楽器をマスターするのは楽器そのものを使いこなすことが目的にもなるが、ITというのはそれ自体が目的になるケースはあまり考えにくい。あくまでも何かをするための道具であり手段である。このことを意識するかしないかの違いは大きいと思われる。

<今日の本歌>
松浦弥太郎『センス入門』

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