第1537回 ジョックスと成年擬制
たそがれてゐる暇もない夏の夕。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
学生らしく、社会人らしく、新人らしく、男らしく、女らしく、日本人らしく、人間らしく、ホニャララらしく、ホゲホゲらしく、こういった言い方には意味がないことは既に周知のことだと思いますが、その原因はこの「らしく」という言葉です。
「らしい」とは元をたどれば推量の助動詞「らし」が転じて接尾語となったもので、「学生らしい」と言えば「学生のような」「学生っぽい」「学生風の」となるのだから、学生そのものではなく学生に似た別物になってしまう。
という屁理屈はさておいても、「○○らしく」とは話者によってイメージは異なり客観的な定義ができないのだから、他者との共通語としては通用しないでしょう。
そういえば紅麗威甦というバンドで杉本哲太氏も歌っていました。「学生らしく、若者らしくとはなんだろう、それだけじゃ誰にも解かりはしない」。まさにその通りです。
<今日の一唱>
紅麗威甦『時代を越えて』