第111回 川上不白とメタモルフォセス
祇園精舎の鐘の声、書行無上の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者生粋の理を顕す。驕れる者はブログ書かず、真夏の夜の夢の如し。こんにちは、大島雅己です。
新しい、という言葉は人によい印象を与えますね。新鮮、新鋭、維新、一新、改新、革新、更新、最新、刷新、新案、新芽、新曲、新作、新刊、新妻、新居、新札、新酒、新年、新感覚、新機軸、新幹線、新記録、新じゃが、新玉葱、などなど、フレッシュなイメージが心地よさにつながるとでも言いましょうか。
しかし、良いことばかりではありません。新人や新入社員はフレッシュだけど仕事ではまだ戦力にならないでしょう。新米の場合、コメならいいけど人なら半人前です。新種は歴史的な発見かもしれませんが有害な生物の可能性もあり危険です。新奇、新興勢と言われると期待よりも不安を感じるでしょう。
そう、新しいものには未知の不安があり、人は本来どちらかというと「変わらないこと」を好むはずなのです。変わらないことは勝手知ったる安定感につながる。寝た子を起こしたくないのです。
会社の中でも、業務改革やBPRには大きな抵抗があるでしょう。それは最初にぶつかる最大の壁かもしれません。現状のメリットを尊重しながらも変革による利点と必然性を見出し、全体の合意を取りながら前進しなければなりません。
いつもの例えですが、芸能分野でも伝統を守り続けることと新しいものを創造し続けることの両方が必要なのです。守破離の守で止まっていては発展もないでしょう。
<今日の本歌>
信濃前司行長「平家物語」