第981回 シュリーレン現象と涅槃寂静
ITはかげろふ、束の間の命。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。
かげろふと言へば蜻蛉すなはちトンボであり、小さく弱く儚いものの象徴でもあります。元を辿れば陽炎つまり日の光に大気がゆらめく様でもあり、まさに束の間のファンタジーめいた状態のこと。一瞬の幻想、一夜の夢、刹那のイリュージョンです。
しかしそれを言ふならば、敦盛にもあるやうに、人生ウン十年だつて化天のうちを比ぶれば夢幻の如くなり、いや、人類の歴史ですら宇宙レベルで見ればほんの須臾たるもの。であれば人間が作り出すものすべては仮初の一時凌ぎなのかもしれません。たしかに永久に続くものなどないと思へばあらゆるものはフラジャイルな泡沫に違ひない。
とはいふものの、だからといつて何もかも付け焼刃の応急措置だけで済ましてよいわけではなく、分秒の世界と月日の世界と十年百年の世界では文化もならはしも動き方も違ふはずです。それぞれの時間のスパンに相応しい生き方をすべきです。5秒後のために何をすべきか。3時間後のためにどう動くべきか。明日に向けて。来週を睨んで。来月を目指して。来年を見据へて。
IT現場でも時間を見つめることは何より重要です。何を進めるにも、どれぐらい先を見た上で動かうとしてゐるのかが肝なのです。
<今日の本歌>
雅夢『愛はかげろう』