第648回 オマージュプロレスラーと貧窮問答歌

ある惑星上で知的なブロガーが成熟したといえるのは、そのブロガーが自己の存在理由をはじめて見出したときである。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

楽器を操つて心に浮かぶままに音を奏でる時、自分の思ひを歌つてゐるつもりであつても、たいていの場合はすでに誰かがどこかで演奏した素材を真似てゐることに後から気づくのです。模倣です。パクり。借用。

しかしこれはある意味、ごく普通のことだと考へられます。開き直るわけではありません。歴史上これまで誰も思ひ付かなかつた音楽など殆どあり得ないと思ふのです。たとへあつたとしても、既存の楽器を使ひ、既存の奏法を使ひ、既存の音階を使ひ、既存の記譜法で表現してゐる以上、もはや借り物なのです。誰かが過去に作つた世界の中で動いてゐるわけです。

真似ではなく、吸収して自分のものにすると考へればよいでせう(ストラヴィンスキーもさう言つてます)。ビジネス現場でも自分だけのオリジナルな発想をしなければと意気込むよりも、既存のものを自分の中に取り込み組合せて別の何かを作ろうと考へるべきだと思ふのです。

<今日の本歌>
リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』

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