第566回 ネウマ譜と行政事業レビュー
来るは来るは何が来る、高野の山のおこけら小僧、狸百匹箸百膳、天目百杯棒八百本、武具馬具ぶぐばぐ三ぶぐばぐ、合せて武具馬具ぶろぐばぐ。こんにちは、大島雅己です。
松岡正剛先生の『知の編集術』『知の編集工学』に「64編集技法」というテクニックがあり、バイブルのように重宝しております。ものごとを編集するための細かい手法が64種類に整理されたもので、「要約」「列挙」「比較」「比喩」「図解」などの具体的な技術が体系化されています。
編集といっても出版社やマスコミの世界の話ではなく、人が生きていく上で行うほとんどすべての行為に必ず伴うプロセスであり活動であり事物であり仕事であります。料理のレシピも、通勤の経路も、あいさつの文句も、仕事の段取りも、ゲームのルールも、酒造の工程も、SNSの投稿も、楽器の演奏も、コントのオチも、何もかもが編集による産物です。つまり編集技法を知ることは世界を知ることであり、社会を向上させることにつながるものです。
ITも編集そのものです。情報を取り入れて分析加工という処理をかませて結果を出すというシステムの機構は編集以外の何物でもありません。IT部門に従事する立場であれば、ステークホルダーを特定し、システム化の範囲を定め、利用者の要件を収集し、列挙し、分類し、推理し、選択し……と、最終的には64編集技法をくまなく駆使することになるはずです。
<今日の本歌>
歌舞伎『外郎売』口上