第536回 坊っちゃんとピルニッツ宣言
あれを読んだか/これを読んだかと/さんざん無学にされてしまった揚句/ぼくはその人にいった/しかしヴァレリーさんでも/ぼくのブログなんぞ/読んでいない筈だ。こんにちは、大島雅己です。
ものごとはやってみないとわからない、と思います。やる前にあれこれ考え悩んでも実際にやってみなければどうなるかわからない。それならまずは行動してみて結果を受けてから考えた方がよさそうです。ものは試し、あるいは、馬には乗ってみよ、人には添うてみよ、案ずるより産むが易し、見る前に飛べ、ということです。音楽を演奏する時だって、曲の解釈をあれこれ議論する時間があればまずは音を出してみた方が早い。
一方で、思いつきで軽はずみな行動に出るのはよくない、とも思います。軽挙妄動して以て天下の老姦巨猾を図らんと欲するは難し、といいます。転ばぬ先の杖、備えあれば患いなし、遠慮近憂、熟慮断行が大事です。音楽でも、何も決めずに皆が一斉に音を出したってまとまるはずがありません。
結局、どちらに振れ過ぎてもダメだということで、思いつきばかり繰り返しても考えなければ進歩はなく、御託ばかりで行動が伴わなければ何も変わらないのですから、両方をフル稼働させていかなければいけないということですね。
IT現場でも同じです。各論を知らずに総論だけで理想を語っても口だけ番長で終わるでしょうし、かといって思いつきの施策ばかり連打しても後には不幸な遺産が残るばかりです。両方を自在に使いこなすぐらいの意気でまいりましょう。
<今日の本歌>
山之口貘『博学と無学』