第189回 山下洋輔とノーバートウィーナー
役に立つ、立たないを超えて、現実は我々に干渉します。人間がブログを書くのはネタを披露するという現実のためです。これが役に立つかどうかは、主観です。こんにちは、大島雅己です。
システムとは何か、という主題について、サイバネティクスの観点から、あらためて考察してみます。サイバネティクスは、生命体と機械における、制御と通信の共通性を取り扱う科学ですね。生命体も機械も、その構造は下記のような特徴を持つと考えられます。
1)一つの、目的を持った構造体である
2)外部から何らかの情報を受け入れ、それを元に動き、何らかの結果を出す
3)全体を制御する機構とフィードバックのはたらきがある
生命体は、生命活動の維持を目的とした一つの個体で、外部から食物や刺激を取り込んでエネルギーや情報として血肉化しますね。機械も同じく、洗濯をするとか現金を引き出すとか検索をするなどという目的のための機能を持ち、外部から入力データや人の操作を受けて処理を進め、結果を返します。
そして両者とも、ただただ処理を行いっぱなしにするわけではなく、全体をコントロールする機能を持ち、出した結果を受けてさらに反応を起こします。食べ過ぎれば腹痛を起こすし、異常なデータがあればエラーを起こしたりして、活動が安定するようなはたらきを持っています。同じですねー。
ちなみに、例によって、楽器に例えてみるとどうなるか。例えばピアノの場合。
1は問題なさそうです。音を奏でるという目的を持った構造体ですね。
2も合致しますね。人が鍵盤を叩くとそれが弦をはじくという仕組みによって音を出します。
3はどうか。正しい奏法で演奏すると出された音によってさらに倍音が響き渡りサウンドはより豊かになり、不正な奏法であればいい音は出ない。これは楽器自体が自らを常に安定した状態に保つための構造上の制御と見なしてよいのではないか…と考えたのですが、どうでしょう?
<今日の本歌>
森博嗣「すべてがFになる」