第776回 ヒュポケイメノンと後内側腹側核
今とてもなど歌ひ給はぬぞ。謡長じてはつゐに舞とこそは承はれ。いやしきブログをもとめて何にかはし給ふべき。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。
ピアノで名曲を練習して仕上げやうとする時、どのやうな手順が望ましいか。最初は片手づつ、ゆつくりのテンポで音を確かめながら弾けるやうにする。それができるやうになつたら両手でやつてみる。テンポは確実に弾けるスピードに設定し、クリアできたら少しづつ速めてゆく。理想のテンポでこなせるやうになつたら、ようやく自分の色を出して、理想に合はせて味付けを加へ、音楽としての魂を吹き込む。
などと書くとイカニモといふ気になりますが、致命的な誤りがあります。「自分の色を出して、理想に合はせて味付けを加へ」るのは、最初に行ふべきです。どのやうな音楽を目指すのかをまづ決めて、それに向かつて練習するのです。できるやうになつてから色をつけやうと思つても遅いのです。
つまりビジネス現場と同じやうに、ビジョンを決めてからそれに向けて動くといふことなのです。動けるやうになつてからビジョンを決めるなんて、本末転倒です。
<今日の本歌>
伊曾保物語『蟻と蝉の事』