第1525回 貴金属数とカロカガティア

半ズボン膝をかすめる猫の髭。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

ゴールデン・レイシオ、すなわち黄金比、中末比、中外比というものがあります。小難しい数学的な説明はさておき、これがなぜ人間にとって心地よいものと感じられ、安定感を与えるのかです。世界の真理に近づく数字だとか生命の神秘を表しているとかいろいろと理屈は考えられるようですが、どうにも腹落ちしません。

しかしこういうことを言い出すと、他にも明確に説明できないことはたくさんあります。ドミソという和音の響きはなぜ心地よいのか。青空の色はなぜ爽快なのか。気泡緩衝材のぷちぷちを潰すとなぜ楽しいのか。ファッションモデルを見てうっとりするのはなぜか。さらに踏みこんでいけば、なぜ蝶はきれいなのに蛾はそうでないのか、いやどちらも嫌な人もいるしどちらも好きな人もいよう、それを含めてなぜなのか。かぶとむしはいいのにゴキブリはダメなのはどういうことか。結局は人間の感覚を説明しようとしても無意味なのかという袋小路に入ってしまいそうです。

そういえば映画『マルサの女』でヤクザ役の芦田伸介氏が「バカヤロ、五千万が大金か大金じゃねえかは感覚の問題だろ、感覚の」と凄むシーンがありました。どう考えても大金なのですが、こう言われてしまうと返す言葉もありません。

(A面へ)

<今日の一唱>
伊丹十三『マルサの女』

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