第1032回 出離思惟とコギトエルゴスム
考へるな、感じろ。指を気にするのでなくその先の月が大事なのだ(映画『燃えよドラゴン』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。
感じること。思ふこと。考へること。そもそもどう違ふのか。どう使ひ分けるべきなのか。どれが大事なのか。時々悩むことです。
感じる、とは感覚ですから体で掴むことであり、自然に体に響く反応を意識することだと捉へます。熱い、冷たい、怖い、好きだ、怪しい、楽しい、いやだ。言葉を使はなくても味はふことが可能です。
思ふ、とは頭の中に反応が現れてゐる状態、とするとわかりやすいかもしれません。この段階では、あの人は優しい、とか、この行動は良くない、といつた判断や、この続きはどうなるだらうといふ疑問が沸いたりその回答を無邪気に想像することもあるでせう。
考へる、の段になると、問題の答を捻りだしたり、新しいアイディアを案出したり作戦を立てたりといふ作業を伴ふことになります。
じつくりと解答を出すためには考へることが重要ですが、咄嗟の判断には感じたままのことが大事なこともあるでせうし、最後に尊重すべきは思ひなのかもしれません。
いづれにしても自分の意見が、感じたものなのか、思つてゐることなのか、考へた結果であるのか、それを意識することが大切なのでせう。そしてコミュニケーションにおいては相手の意見についても同様のことが言へます。
<今日の一唱>
映画『燃えよドラゴン』