第679回 ペトリネットと豊聡耳
つねに流れ出る視線の力を見きわめ、ブログの意志をつかみとれば造作もないものを、人はそれができない。かかか。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。
楽器を演奏する時は同時並行でいくつものタスクをこなす必要があります。目で譜面を読み、手で楽器を操作し、耳で音を聴く。
サクソフォーンの場合、口から息を吐いて音を鳴らし、十本の指で楽器を抑へて音程をコントロールします。
これだけでも相当な同時進行ですが、運指のルールがほぼ決まつてゐるからまだ楽な方で、ピアノなどは左右の手が別々に動く上に各指もバラバラに活動し、そこに足のペダル操作も加はるので大変なものです。
ビジネスの世界ではマルチタスクは非効率だからよろしくないなどと言はれることがあるやうですが、音楽家の場合はマルチタスクができなければどうしやうもないといふことですね。
ちなみにマルチタスクといへばコンピュータですが、あれは実際には超高速でタスクを順番に回してゐるのであつて、同時並行で動いてゐるわけではないんですよね。もはやミュージシャンこそが真のマルチタスカーといふわけでせうか。
<今日の本歌>
椎名誠『悶絶のエビフライライス』